筋線維の断面図
筋線維の断面図

身体を引き締めやすい
EMSトレーニング。

筋肉は、非常に細い筋線維で構成され、大きくは速筋と遅筋に分類されます。速筋は発達しやすいため、トレーニングを行えば、引き締まった身体の形成に繋がりやすいという特徴があります。しかし一方で、通常のトレーニングでは、息が切れるような高強度の負荷をかけなければ刺激できないという側面を持っています。 EMSは、低い負荷でも速筋に選択的にアプローチできるため、見た目の変化が現れやすいと言えます。

20Hzによる
トレーニング効果を実証。

世の中に存在するEMS機器には、あらゆる周波数が設定されています。筋肉を鍛えるために必要な刺激は何か。森谷氏は、運動医科学の観点から、筋肉が発達するメカニズムに着目し、複数の周波数を比較・検証しました。その結果、筋肉を効率的にトレーニングできる周波数は、20Hzであることを見出しました。

20Hz
周波数
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    従来のEMS機器の課題
  • 検証項目 筋肉の張力(=筋力が発揮する力)
    50Hz・80Hz時の時間-張力

    20Hzよりも高い周波数を用いると、約60秒で、筋肉の張力が低下してしまいます。筋肉が神経生理学的な条件を満たすことができず、トレーニング効果があまり望めない状態に陥ってしまうのです。

    20Hz時の時間-張力

    20Hzは、時間が経過しても張力を保っているため、継続して効率的なトレーニングを行えるということが結論付けられました。

    参考:Moritani et al. Exp Neurol 88:471-483,1985

  • 検証項目 筋肉の酸素消費量
    20Hzと60Hzの筋酸素消費量の比較
    20Hzと60Hzの筋酸素消費量の比較
    写真は検証風景の一部です。(森谷研究室)
    写真は検証風景の一部です。(森谷研究室)

    運動した際に、筋肉はエネルギーを 使い、酸素を消費します。 20Hzは、他の周波数と比べてより多くの酸素を消費し、トレーニング効果が高いということが実証されました。

    資料提供:京都大学 森谷敏夫名誉教授

期待されるEMS研究の未来。

トレーニングには筋肉のメカニズムに適合した刺激が必要であるという発見により、EMS研究は大きな進歩を遂げたと言えます。今後もEMSの有用性はますます高まり、当たり前のようにトレーニングのひとつとして取り入れる人が増えていくでしょう。

森谷 敏夫
京都大学名誉教授 森谷 敏夫

1950年   兵庫県生まれ
1980年   南カリフォルニア大学大学院 博士課程修了
1992年   京都大学大学院 人間・環境学研究科助教授
2000年   同科教授
2016年4月 京都大学名誉教授、株式会社 運動医科学研究所所長

国際電気生理運動学会、国際バイオメカニクス学会、アメリカスポーツ医学会、日本運動生理学会、日本体力医学会など、多数の学会で理事、評議員を歴任。 世界で初めて、筋力増大に対する神経的要因の貢献度を評価した。 発表した論文は、200本以上。著作多数。